2023.09.07_日記

朝から涼しい。昨日の雨が過ぎ去って天気も快晴。もう少しで本格的に秋が訪れる。そういう気配がある。仕事の休憩中、近くにあった家の玄関先でおじいさんが座りながらボードを持って何かを書き(描き)込んでいた。メモなのかスケッチなのかはわからない。小柄な黒猫が道路を横切って広い空き地の草むらに入って行った。しばらくぼうっと雲を眺めていた。猫の鳴き声がしたので視線を鳴き声のする方へ向けると、おじいさんがさっき見かけた黒猫に話しかけながら、杖をついて家の周りを歩いていた。猫もおじいさんの横をついて歩いている。玄関先で何かを書き(描き)黒猫と歩くのが日課なのかもしれない。猫はいつも来ているのかもしれないし、たまに訪れていて、今日がその日だったのかもしれない。お昼休憩にカフカの「城」を読む。

「だいたいのところ、城は、ここから遠目で見た限りでは、Kの予想した通りであった。それは、古い騎士の城でもなければ、新しく建てた豪華な建造物でもなく、広大な施設で、二、三の三階建ての建物を中心にして、窮屈に並んだ多くの低い建物から成っていた。これが城だと知らなかったら、田舎町ぐらいにおもえたことであろう。塔がひとつ見えたが、これが住居の一部なのか、それとも、教会の塔であるのかは、よく見わけがつかなかった。鴉の群れが、塔の周りを飛んでいた。」

カフカ「城」前田敬作訳、新潮文庫、項21

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