仙台はかなり暑くて、駅前を歩いているだけでうっすらと汗が滲み出てきた。彼女と石巻へ行くために特急の電車にのり、コンビニで買った缶ビールを一本だけ飲んだ。少し眠くなってきて目を瞑っていると、横切っていく電柱や電線の影が窓から入り込んで、光と影が交互に瞼の上を通過していくのを感じて、目を瞑ったとしても何も見えていない(感じていない)訳ではないよなと思いながら、「眼の誕生」という本のなかで書かれていた皮膚の光感受性のある斑点が像を結ぶ眼へと進化していく話を思い出して、像を結ぶ以前の原始的な眼で世界を見たらこんな感じなのだろうかとぼんやりとした頭で想像した。石巻につくと気温がぐっと下がり、仙台に比べるとかなり肌寒かった。