2021.07.05

 曇り

 小泉義之の病の哲学をよみはじめた。ソクラテスとプラトンの対立についての章をよんでいる。ソクラテスは自分が死ぬ理由を神による宣告だから自殺でも他殺でもないといい、正当化しようとしている。死ぬことでより素晴らしい国へと向かう。死への哲学。そうではない哲学をプラトンは持っていた。面白い本だと思う。まだすべて読んではいないけど。小説に描かれる様々な場面はほとんどが忘れてもいいような瞬間だったりする。そんな場面を丁寧に積み重ねていく事で作品が生まれていく。次の作品はそんなものが作りたい。忘れるなという無言の圧力が強いこの街で、忘れてもいいことを積み重ねることで作品を作っていく。忘れていること自体を忘れないと本当に忘れたとは言えない。0と1の間で思い出せないが忘れているわけではないという状態が何かを忘れてしまっているということ。0ではないからまた思い出せる。忘れてもいいものの積み重ねが、忘れてしまったものの積み重ねが無意識をつくっているような気がする。

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