晴れ
「偶然の波打ちぎわ」
境界線を
偶然と必然
そう言い換える
狭間
曖昧な現在地で
宙吊りの身体
波打ち際
砂地に足裏をのせる
海水の冷たさ
陸と海の中間
なにものでもなく
いくつもの集合体
それを受け入れる
高台と
島のあいだの往復
近づくことを
離れることを
繰り返し
暫定的に
船の形を変えていく
水平線は
消えることなく
繰り返される
指先から
血液を伝い
波打つ心臓
内側の触覚
マイナスの距離
困惑して
佇む姿を
眺めている
想像の外側
深さで
覆われた
環状島の内側で
腰を下ろし
吹き抜ける風が
上昇する
流れ続けていた雲が
知っていることを
読み取るための空白
ここから先は立ち入れないと
すれ違う誰かが言っていた
その響きが
充満する
霧
遠くから運ばれた匂いが
脳と触れ合い
葉が光をあびて
風ではためく
光景を
100年後
地中から
掘り起こす
手についた
土から漂う
時の香りを
手繰り寄せ
誰かのためにではなく
自らのためにでもなく
なにも捧げない
その気持ちを
保ち続ける